恋するマジックアワー

「……どっちだと思う?」

「え?」


質問返し!?

ず、ずるい……。


「わ、わたしが訊いてるんだけど……」


慌ててカップに口をつける。
飲みこんだココアはとっくに冷めていて。
甘ったるさだけが、喉に絡みつく。



「大丈夫だって。女連れ込んだりしないから」

「わっ」



また髪をクシャリと撫でられる。

完璧子供扱い。

教えてくれないんだ。

ムスッとして乱れた髪を手で直しながら、ジロリと洸さんを睨んだ。

長い前髪が揺れて、「ん?」なんて小首を傾げる。



「……やっぱり洸さんって、そーゆう人なんだ」

「ソウユウ?」

「女の人が好きってゆーかなんてゆーか……」



最後の方は、ゴニョゴニョとなってしまった。

そんなわたしに、洸さんは楽しそうに目を細めながら笑う。



「そりゃそうでしょ。俺だって一応男だし?目の前に魅力的な女性がいれば欲しくなる。
それが、自然の理」

「ふ、ふーん」


『欲しくなっちゃう』んだ。
洸さんの口から出た言葉に思わずたじろいでしまう。

それに、魅力的な女性って……、




「じゃあ、わたしは?」

「ん?」

「わたしにも、そう思う?」



い、言ったっ!

心臓、飛び出しそう。

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