恋するマジックアワー


「…………。それチョコ?」

「あ、うん!友達にもつくったから、それで……」


洸さんがゆっくり振り返る。



「なら、早く隠して」


……へ?


か、隠せ?


「見なかった事にするから」

「え、でも、これは洸さんに」

「立花」

「っ……」


またなの?

また、なにも言わせてもらえない。

洸さんはまた作業を再開してしまった。わたしを見もしないで言葉を続ける。


「昨日も言ったけど、俺は教師だ。この学校の先生。で、キミは生徒。俺は生徒がチョコを持っているのを見たら、没収しないといけない。わかるな?だから……」

「、……んで……?」



……なんで?

どうして、最後まで言わせてくれないの?


わたしの気持ちわかってるくせに。

なのに、確信に近づくと遠ざける。
曖昧にされる。

なかったことに、される……。


< 161 / 194 >

この作品をシェア

pagetop