恋するマジックアワー
「…………。それチョコ?」
「あ、うん!友達にもつくったから、それで……」
洸さんがゆっくり振り返る。
「なら、早く隠して」
……へ?
か、隠せ?
「見なかった事にするから」
「え、でも、これは洸さんに」
「立花」
「っ……」
またなの?
また、なにも言わせてもらえない。
洸さんはまた作業を再開してしまった。わたしを見もしないで言葉を続ける。
「昨日も言ったけど、俺は教師だ。この学校の先生。で、キミは生徒。俺は生徒がチョコを持っているのを見たら、没収しないといけない。わかるな?だから……」
「、……んで……?」
……なんで?
どうして、最後まで言わせてくれないの?
わたしの気持ちわかってるくせに。
なのに、確信に近づくと遠ざける。
曖昧にされる。
なかったことに、される……。