恋するマジックアワー(仮)

ちょっとだけ開けて、中を覗き込む。

開け放たれたカーテンが、フワリフワリと風に遊ばれているのを見て、疑問が確信に変わる。

やっぱり、洸さんはここにいるんだ。

あたしはキョロキョロと周りを見渡して、誰もいないことを確認すると、そっとその隙間から美術室に滑り込んだ。


音をたてないように、扉を閉めて改めて洸さんの姿を探す。



「……」



えっと……
あれ?


いったん教室を見渡して、気づく。
どこをどう見渡しても、洸さんの姿が見当たらない。

普通の教室とは違って多少広くはあるものの、気配くらいは感じるはずだ。
そう思った時、不意にある場所が気になった。


それは、美術室の隣。
美術準備室。

入り口が、開いてる……。


なんか緊張する。


なぜか勝手に高鳴る胸をキュッと抑えると、シンと静まり返った教室を進んで、ギィと扉に触れた。



洸さん、いますか~?
< 69 / 222 >

この作品をシェア

pagetop