恋するマジックアワー


「ん……」


まるで眠れる森のお姫さま。
洸さんは、わたしの口づけでタイミング悪く目を覚ました。
長い睫がフルフルと震えて、薄く開かれた瞳が、眩しそうに瞬いた。


瞬間、わたしの夢は覚める。

サーッと血の気が引くのを感じて、ガバッと体を起こした。


え?……わ、わたし、なにして……



目を細めた洸さんのその瞳が、愕然と立ち尽くすわたしを捕える。

どうしよう……なんて言おう……。



頭、真っ白……。

都合のいい言い訳を必死で探すけど、そう思えば思うほど何も考えられない。


今、の……気付いてた?



ドックンドックンって勢いよく心臓が跳ねて、目眩がしそうだ。



「……うわ、寝てた。あれ……立花?」



うっ


< 68 / 194 >

この作品をシェア

pagetop