はやく俺を、好きになれ。
「……行くんだろ」



ぽん。と真優の頭に手を乗せる。料理部云々でデートを台無しにしたくねえから外に出るよう託する。

いちいち勘違いして落ち込んでたら今頃俺は引きこもりだ。なら、これまで何度勘違いしてきたことになるんだ。十年間で当たっては砕けてきたから早々は壊れねえ。



「うん!…はい!」



先に俺の部屋から出た真優は手を差し出してきた。なんだ?飴か?わりぃけど持ってねえ。そう言うと頬を膨らまして怒った。



「手だよ、手!手繋ごう!」
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