はやく俺を、好きになれ。
ぷるるる。ぷるる―――ぴ。



『もしもし?』



留守電になれ!と言う願いは直ぐさま消える。通話中の携帯からは高い女の声が聞こえてきた。言わずとも分かる。真優の声だ。


いつもなら耳元で聞こえる真優の声に悶えるが今は冷や汗が止まらない。横ではニッコリと微笑む葉が『ちゃんとやれよ』と無言の重圧をかけてくる。お前こえーよ。



『陽〜っ?』

「……おう」

『補充終わったの?』

「……いや、まだ、」

『なんかテンション低いよ!』



そりゃ低くもなるわ。


テンションがた落ちの俺とは違い真優はテンションが高い。電話越しにはキャーっ!やワーっ!やら周りの声が聞こえてくる。


羨ましすぎる。本来ならそこには俺も居たはずだったのに。何で俺は男だらけの教室でシャーペンを握ってるんだ。
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