だから、恋なんて。

無言のまま急ピッチでそばを流し込んで、席を立つ。

ほんとはこの御出汁だって全部飲み干したいところだけど、こいつとこれ以上顔をあわせているのが窮屈でしょうがない。

挨拶もせずに完全無視で食堂をでると、なんと後ろからチャラ医者も食堂を出てくる。

「着いてこないでください」

「だって僕もこっちだし」

私より頭一つ分は確実に高いチャラ医者が、勝手に隣に立って歩き出す。

遠回りして帰ろうかなんて子供じみたことを思いつくけれど、そう時間があるわけでもなく。


仕方なくそのままICUの扉を開けて入ると、そのチャラ医者まで着いてくる。

なんだ、ICUの患者さんに用があったんだ。

じゃあほんとに私の後をついてきたわけじゃないんだと思うと、意識しすぎたかと少し恥ずかしくなる。

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