だから、恋なんて。

「褒めるとか褒めないとか、じゃないかな」

「なんですか、それ」

「どんな美咲さんでもいいってこと。意外性があってもなくても、見かけによらなくても」

「………へぇ~、そうなんですね~」

なんとなく見つめ合ってしまってた私たちの間に、棒読みの台詞を呟きながら割り込むように体を入れてくる榊。

「うわっ、榊さん、待ってくださいよ~」

「はい、ここ職場。しかも仕事中です」

「今キメ時だったんですよ?」

「そんなのは外でやってくださいよ、外」

シッシッと虫を払うような仕草をする榊に追い立てられて、そんなぁなんて情けない声を上げながら退散する医者。

いや、そりゃあ、榊のいう事は尤もですし、私だってなんて返せばいいかわからなかったし。

朝みたいにチャラく言ってくれれば冷たく返せたものを、納得するように穏やかに言われてしまえば、それこそありがとうとかしか出てこなかったかも。



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