だから、恋なんて。

いやいや、そんなことよりも、だ。

「なんで榊にはタメ口じゃないの?」

「さぁ?頭上がらないんじゃないですかね」

「なんでよ」

「知りませんよ」

「ていうか、気を付けろとかって言ってなかった?」

「あ~…あれはまあ保留ってことで。あ、でも、青見はどうなりました?」

「どうなりましたって…」

どうにもなってないし、なりようがない。しかも呼び捨てだし。

そういえば、青見先生この頃ICUで見かけないような気がする。

…違うかな。私が青見先生の担当患者を受け持たないだけで、ICUには来てるのか。

あ、でも、もしかしたら…。


「お疲れ様です、……大丈夫そうですね」

患者さんの頭元で光る心電図のモニターを見ながら、あの夜勤ぶりの青見先生が隣にやって来る。

それにいち早く気付いた榊は、チラッと先生に視線をやってから自分の持ち場に戻っていく。

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