だから、恋なんて。

そうなるとね、そりゃあやっぱり榊に手伝ってもらうことが多いのよ。

一回り以上離れた若い子たちは、なんとなく私に頼まれると緊張しちゃうみたいだから。

「はい、じゃあ反対向きます」

「はい、オッケーよ」

榊の掛け声に合わせて患者さんに反対側を向いてもらい、今度は私が背中を拭く。

「いつも思ってたんですけど、それ年代感じますよ」

にこりともせずに言う榊の言葉の意味がわからずに、少し考えている間に患者さんの背中を拭き終えて新しい病衣の交換まで済んでしまう。

ほんと、どのナースもそうだと思うけど、こうやって日々何人もの患者さんの保清と更衣をしていると、嫌でも素早くなってしまう。

早着替えさせ選手権とかあったら、上位は絶対ナースで占められると思う。

保清が終わり、片づけをしている榊の傍にいって、さっきの意味を聞いてみる。

「ねぇ、年代ってなに?」

「はい?……あぁ、美咲さんの口癖ですよ」

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