だから、恋なんて。
「あっ、そうだ!私、今日なんか噂を耳にしたんだけど?」
小首をかしげてるけど、目が全然っ笑ってないよ、千鶴サン?
「え~、なんですか噂って?」
も、もしかして、その噂って……。
「結城先生と美咲が付き合ってるって話」
「え~っ!」
「…やっぱり」
にんまり笑ったままの千鶴と、目を真ん丸くさせてる雫。
「やっぱり、っていうからには心当りがあるんだ?」
「いや、やっぱりっていうか、まぁ仕方ないか、っていうか…」
「え、じゃあホントなんですか?……ていうか、結城先生って誰?」
ほとんど検査室にこもりっ放しの雫は、医者が交代するたびに名前を覚えるのに時間がかかる。
それはきっと雫が医者に興味がないのが最大要因だと思うけど。