だから、恋なんて。

「外科の新しくきた医者よ。なんか、ICUで派手に告白されたんだって?」

「告白ぅ?」

「あ、それか」

少しホッとして肩の力が抜ける。まさか昨日のが見られてたのかと思ったけど、さすがに昨日の今日では噂にならないか。

「それかって、どういうこと?まだなんかあるの?」

「な、ないないっ。ないけど、あれを聞いたのかとおもって」

やっぱり、千鶴は勘が鋭い。酔っ払うとそこが鈍る雫と、より冴える千鶴。

焦ってはならぬと、努めて冷静に否定する。

「告白なんて可愛いもんじゃないよ。彼女にしてやってもいいみたいな言い草だったし」

「えぇ~、すごいな、その人」

「さすがに何て言ったかは知らなかったんだけど、ホントなんだね、噂」

「まぁね。頼んでもないってのに、彼女にしてやるなんて、ほんと迷惑」

「で、なんて返事したんですか?」

「そうそう、それに医者ってことは、さ……あ」

言ってからしまったというように顔を引きつらせる千鶴。
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