だから、恋なんて。

結局グダグダとあーでもない、こーでもないと言いあう二人を横目に、部屋に備え付けの電話でお会計をお願いした。

まだ飲み足りなーいとか言ってる二人だったけど、静かすぎるここは、長居するには落ち着かない。

襖を開けてすでに揃えられていた靴を履いていると、雫が仲居さんに案内されながらお手洗いに向かう。

「大丈夫かな、雫」

「ちょっとヨロついてたね」

ふふっと笑いながらゆっくりと店の出口に向かう。


千鶴は、いつもの千鶴で。

直人さんとどんな話になったのか。もう元通り仲の良い夫婦に戻ってるのか。直人さんの体調は良くなったのか。


聞きたいことはたくさんあるけれど。

「千鶴は…大丈夫なの?」

なんとなく顔がみれなくて、視線を自分のパンプスの先にうつす。
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