だから、恋なんて。
「お疲れ様で~す」
「お先に失礼します」
「お~、お疲れ」
考えとくと言ったものの、もちろん業務中にそんな暇は一ミリもなく、あっという間に交替時間。
まとめて入室したオペ後の患者さん達も無事に落ち着き、今日の申し送りはとてもスムーズに終了した。
目の前の患者さんに集中していたけれど、あいつがいつ話しかけてくるか、なんてことを考えてしまう自分が気に入らなくて。
耳や背中で必死にあいつの声をひらおうとしていることに気付くたびに、いちいち自分を正さなくてはならなくて。
……ちっとも仕事が進まない。