だから、恋なんて。

「先生、おさわりなら僕にしてくださいよ」


後ろからした声に視線を動かすと、私をつかんでいた青見先生の手に絡ますように指を差し入れているオトコ……もといチャラ医者。

えっ?もしかしてコイツってそっち系なの?恋愛対象は女子じゃなくて男子ってやつ…?

指を絡ませたままの二人を凝視する。

見つめ合っているオトコ二人は、お互い酒のためかなんなのか瞳が潤んでいるようにも見え、濡れた唇は今にもキスを誘う様にわずかに開いている。

今やチャラ医者の体は完全に私と青見先生の間に入り込み、まるで違う雰囲気を醸しだしていて。


いや、男同士は別に反対はしないけど、こんなとこでいいのっ?

いきなり二人でカミングアウトとか、しかもこんな宴会場で。

あれ、でも、青見先生は綺麗な女の人といかにもな感じで歩いてたし………あ、両刀ってこと…?

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