だから、恋なんて。
「キモイ」
ドスドスと女性らしからぬ振動を感じたかと思うと、繋がれていた二人の手を手刀でバッサリ切り捨てる榊の登場。
「イッ…たいよ、榊さ~ん。仮にも外科医の手なんですけどぉ」
「うるさいよ。面白がって美咲さんを固まらせた罰です……見てくださいよ、石像みたい」
立ったままの榊が指し示すのはもちろん未だに反応できてない私で。
「え……ちがうの?」
私を見つめる三人を代わる代わる見返す。
「ほらね」
呆れたようにフッと笑う榊と、顔を片手で隠して肩を揺らしながら笑う青見先生。
で、このチャラ男ときたら、にこにこしながら私の頭を撫でている。
「可愛いね~、美咲さん。なかなか突っ込んでくれないから、榊さんが来なかったら危うくキスまでしちゃうとこだったんだけど?」
「あ、ごめん。………ていうか、手どけて」
パシッと撫でてた手を叩くと、「あ、ひどーい」とか言いながらも楽しそうにケラケラ笑っている。