だから、恋なんて。
わかんない。全然わかんないよ、直人さん。やっぱり酔っ払ってるよ、あなた。
直人さんは照れたのか、頭をガシガシかいている。
キッチンに視線を移すと穏やかに笑う千鶴が湯気の中に浮かぶ。
焦げたバターの匂いと医者の「超ウマソー」という嬌声にクスッと笑いが漏れてしまう。
「薬は、飲むの止めてくれたんです」
「そう、ですか…」
「と言っても、僕が倒れてしまった所為でバタバタして飲み忘れたらしいんですが…。僕も少し調べたんですが、あれって毎日飲まないとダメなんですよね」
「そうみたいですね」
なんでお酒の席でわざわざピルの話を、しかも親友の旦那と話さなくちゃならないのか…。
そういえば、家に来た時も直人さんとは回数の話なんかしたっけ。