だから、恋なんて。
そーですよね。学会で出張っていうんなら、いくら急変でも当直の医者を呼ぶよね。
今日はここに泊まるなんてあり得ないのに、帰りたいような帰りたくないような微妙な気分になる。
「ほら、直人も食べてみてよ。先生の明太パスタ美味しそうなんだから」
「わっ、これ先生が作ったんですか?」
「そうなんです。僕、パスタはわりと得意なんですよ」
自慢げに言いながら取り分けられたパスタは、本当に美味しそうなピンクとクリーム色で。
千鶴の作った美味しそうな焦げ目のついたささみの明太子巻もじゃがと明太子のグラタンも、明太子づくしだったにもかかわらず皆でペロリと平らげた。
さすがに片づけくらいは貢献しないとと、空いたお皿を持って立ち上がると千鶴も後からついてくる。
「あ、片づけくらいはするよ。全部美味しかった!あの生ハムの、また食べたいし」
「ありがと。うちも明太子消費できてよかったわ。医者のパスタも美味しかったしね」
「…うん、まぁ、美味しかったよ」
「ふふ…サラダ、結城先生に作ってもらったら?レシピ教えたし」
「……いいよ、私に教えてよ」
「教えたって作らないでしょ、美咲は。無駄なことはしないの」
うっ…、確かに、今まで聞いておいて作ったためしがないけどさ。