だから、恋なんて。
好きな人を忘れられない、ずっと好きだということを言い訳にしてると雫は言う。
でも、それは当たり前のことのような気がして、雫をどうこう責めたりみっともないと思うことは断じてない。
それをいうならいつまでも昔の出来事を言い訳にしてる自分の方が余程恥ずかしい。
「なんて、自分でもちゃんと気が付いてなかったんですけどね。この間、超ムカつく野郎に言われちゃったんです」
「野郎…?」
「そう!弟のバンドメンバーなんですけど、年下のくせになんでもかんでもお構いなしにズケズケ言うんですよっ」
「あ、えっ?だれだれ?ギター君?ドラム君?」
雫の弟さんのバンドメンバー……全然知らないっていうか、弟さんさえ会ったことない私と違って、すぐに顔が浮かぶ千鶴が聞く。