だから、恋なんて。

「…また、いちごミルク…」

「うん。夜勤明けで疲れてるでしょ?」

さっきまで炭酸を飲みたかったのに、どうしてかこんな甘ったるい飲み物でもいいかと思えてしまう。

くそぅ、榊のヤツ。

最後の一本を飲まれたせいで喉がカラカラで、素直にそれを受け取って、隣に腰掛ける。

まさか榊がこうなることを予測して私から炭酸を奪ったのかと、あり得ないことを考えて。

ポツリ、言葉を投げかける。

「…周りから仲間にするのね」

「ん?誰のコト?」

「誰って……榊の他にもいるわけ?」

「あぁ、榊さんね」

「……意外」

狡猾そうな笑みを浮かべて頷く医者に、思わず本音が零れる。

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