だから、恋なんて。

「連絡する気になれたらいいんですけど」

やっぱりいつもの雫らしくない、なにか引っかかる言い方。

同じように雫の変化に気づいたような千鶴と視線を合わす。

「…なんか、あった?雫」

千鶴が聞いても、俯いて野菜スティックをポリポリかじる雫は、なかなか視線を上げない。

言わないことは聞かない主義の私は、雫を気にしながらもチヂミに手を伸ばす。


それにしても雫がこのパターンなのは本当に珍しい。

仕事でミスをすることが少なくなったこの頃、こういう雰囲気を作り出すのは恋愛がらみが多いけど。

「…もう私来月には三十六になるんですよ」

「うん、そうだね」

来月は雫のバースデーだから、次の四十路会は洒落た日本料亭みたいなところはどうだろうかと千鶴と話していたところだ。

「もう、いい加減にしたいんですけどね」

自嘲気味に笑いながら焼酎をあおるように飲む雫。

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