だから、恋なんて。

「あ~!ちょっと、またなんか考えこんでたでしょ?今度はなにっ?老後?」

「やだ~、千鶴さん。老後はまだ早いですよ~」

かなり上機嫌の二人はまた新たにお酒を追加したようで、グラスを持ちあげて乾杯を促してくる。

「二人がバンドの話で盛り上がってるからボーっとしてただけですぅ~」

口を尖らせてグラスを持ちあげる。

「かんぱ~い!」

千鶴の声掛けでカチンとグラスを突き合わせて、グイッとグラスをあおる。

乾杯をすると必然的にグラスの中のお酒は減っていくわけで、また新たにドリンクを注文することになる。


そうやって乾杯を数度繰り返して、いつもと違った空気で始まった四十路会はお開きとなった。

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