空色ホイッスル



本人を前にすると、遠回しにしか話せなかった。



そして、俺の最後の言葉を聞いて何かを思い出した芽衣。



「それがあの時だったんだ!



私、あの日先輩にいつものフォワードが入ってないって言われて



一ノ瀬くんのことを初めて知って、その後声を掛けられるなんて思いもしなかったもん」



でも一ノ瀬くんは良い人だったから良かったと照れながら芽衣は言っていた。



俺は初めて会った時、芽衣の優しいところをつかって



ただ自分を知って欲しくて、意識して欲しくてあんな無茶ぶりをした。



あれは芽衣だったからできたことだと心底思う。



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