山神様にお願い
店長が淡々と龍さんを責めるのを、他の3人は引きつりながら聞いていた。うわあ~・・・これが夕波店長の仕返しなんだよねえ。まあ、言ってることは正しいけど、ものすっごい意地悪だよね・・・。公開処刑というやつか!仕方ないとは判っているけど、私は若干しょげている龍さんに同情した。
そこで、店長の言葉を考えたような顔をした龍さんがえ!?と声を出す。
「泣いた?え、誰か泣いたの?」
「シカがね。電話してきたときに泣いてた」
ぎゃあ~っ!!ど、どうしてここでそんなこと言うのよ店長~っ!!私は更に引きつる。全員の視線が突き刺さったのを感じた。
・・・痛い・・・。
「シカちゃん泣いてたの?可哀想~!」
「オーナー呼びにいくのちょっと待ってたら良かったですかね、心細かったですか?すみません、シカさん!」
ツルさんとウマ君が困ったような顔をして言う。私は慌ててバタバタと手を振り回した。
「いえいえいえいえいえ!だ、大丈夫でしたから!!ほら、ホッとして、それで・・・」
「――――――――シカ、泣いたのか」
龍さんが真面目な顔でそう言った。そして私に近寄ろうと一歩踏み出す。
「本当に悪かった。俺がちゃんと責任取って慰めて―――――――――」
あ、隣でツルさんがそう呟いたのを聞いた。
私は思わず座敷の方へ視線を向ける。
それと同時に、目の前を何かが横切り、それはすっ飛んでいって突き当たりの壁に激突する。