山神様にお願い


 その勢いに驚いて私は仰け反る。

 ななななな・・・・・・・何で、しょうか・・・・?

「・・・へ?」

 怯えて身を縮こまらせる私に向かって、同じくキッチンから出てきた龍さんが、ウマ君をあっさりと退けて言った。

「シカ、お前、マジで結婚するの?」

「は?」

 私は正直に目を真ん丸くする。・・・・私が、何ですか?

「何ておっしゃいました?」

 龍さんが腕を組んで柱にもたれる。珍しく真面目な顔をしていた。その後ろでウマ君が興奮を無理やり鎮めたって顔で突っ立っている。

「結婚。お前、大学卒業したら結婚するんだろ?」

「え・・・ええっ!?だ、だだだ、誰とですかっ!?」

「俺が知るかよ。それを聞きたいんだ。そんなメールをお前がしたんだろうがよ」

「はいっ!?」

 驚愕する私に怪訝な顔になって、龍さんが自分のスマホを弄る。そしてメール画面を私の目の前に掲げて見せた。

 そこには――――――――――――

『わたくし鹿倉ひばりは、大学卒業と同時に結婚することが決定しました。お世話になった皆様には是非挙式に出席して頂きたいと思っておりますので、詳細決まり次第また連絡いたします。まずはお知らせまで』


< 254 / 431 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop