山神様にお願い
そこにあうかは判らないにせよ、最初から1年以内しか働けませんの人間を雇う店は少ない。教育にはそれなりに時間も金もかかるし、それでまた次を探すのは難しいからだ。
大学4回生ですと言った時点で、断られるのが半分ほど。その他は、就職が決まってます、の一言で断られる。フリーターになるなら雇ってやってもいい、と言われたこともあった。
私には時間があって、お金がない。だから週に2回、3年前からずっと家庭教師をしている子の家にいく以外は、殆ど暇だった。週に1時間しか行かないとか関係なく大学の費用はかかる。親にはこれ以上の負担をさせたくなくて、もう一つアルバイトをと就活を終らせたこの2月からずっと探してきたのだ。
で、断られまくってきたわけで。
ここは、簡単に決まっちゃったけど。
「・・・」
まだ多少ぼーっとしていたけど、とにかくいつまでもここに居るわけにはいかない。私は何とか足を動かした。
商店街から駅を通り抜けてアパートに戻る頃には、笑顔が出てきていた。
やった、私、バイト決まったんだ!
しかも久しぶりの接客業。やったー!!
自宅でレストランをしている故郷の叔母の店の手伝いをした時以来だ。ちょっと緊張するかも~、と弾んだ気持ちで思いながら、自分の部屋のドアを開けた。