最後の愛コトバ。
第1話

出会い~Male or Female??

「ん。これで完璧!」

真っ白なチェストの上に写真たてを置くと、満足気に微笑んだ。

「後はこのダンボールの山とこのゴミ袋か…」

はぁっとため息をつき、一番大きなダンボールに乱雑に折りたたんだダンボールを詰めていくと、パンパンになった。

その上にゴミ袋を無造作に乗せる。

ゴミ捨て場はマンションの向かい側。

パンパンになったダンボールを抱きかかえ、彼女はマンションの階段をゆっくりと降り始める。

「やっぱエレベーターあるとこにすればよかったよぉぉ…。」

悲痛な声をあげる彼女の部屋は4階の角部屋。

駅までは徒歩3分、間取りも2LDKで家賃も安く、古い以外立地条件は完璧だった。

なんとか1階まで降りると、マンションのエントランスの扉を肩で押し開けた。

ダンボールと言えど、たくさんあれば意外と重い上にゴミ袋を乗せているから、案の定前は見えない。

駐車場を抜け、車が通らないことを確認した彼女はゴミ捨て場に向かって、歩き出したその時…


「あぶない!!」


誰かが叫ぶと同時に、彼女の視界にバイクが映った。

大通りの路地、車が1台やっと通れるような狭い道。

バイクと人がすれ違うのも少し危険な道で、暗がり。

「やっ…」

小さく叫ぶと同時に、ダンボールがバランスを崩し始めた。

そこからはまるでスローモーションのように。

(怖い…!!)

彼女は接触の恐怖に硬直し、目を硬く瞑った。

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