あの日もアサガオが咲いていた。




そんな絢也の言葉にも余裕の笑みで返す男に込み上げてくるのは、やるせなさか。

それとも更なる恥ずかしさか。


あからさまにぶつけられる大人の対応に、居心地の悪さを感じて絢也は視線を逸らした。


そんな絢也の反応に、男はそっと目を細める。その向こうに何かを見つめるように。


そして視線をそっと夜の空へ向けると、まるで宝物の名前を紡ぐようにその唇を動かした。




「俺も、選ばれたことがあるんだ。少年と同じ中一の時に」




三日月型に細められた瞳は懐かしそうに、愛しそうに。

その中に瞬く星を映す。


計り知れない愛を包んでいるその目に震える絢也の体の奥。


その瞳の先に見えているのは紛れもなくこの人の宝なのだとわかった。




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