武士道セブンティーン!!


「………」


誰かに抱き上げられているらしい。いや、持ち上げられている、か。

脇に抱えられたあたしの視界から、地面がグンと遠退いた。

屋根に飛び移った所でソイツを振り仰ぐと、
あたしを抱えていたのは全身黒づくめの怪しい男。


「ちょっと!誰ですかアンタ!離せよっ!」

「………静かにしろ」

「出来るかボケェ!触んな変態、
あたしはとっととここからおさらばすんだよ!いいから離せ!」

「………ホンマにアバズレやな。黙れ言うとるやろ阿呆」

キレるあたしにソイツは馬鹿にしたように鼻で笑うと、
どこからか出した手拭いを細く丸めて、あたしの口に猿ぐつわをした。


「んぐっ………」

いきなり何しやがんだクソヤロウ。


……という思いをありったけ込めた渾身の睨みをくれてやると、ソイツは、

「しばらくそうしていろ」

と言った。


(この真っ黒くろすけが………)


覚えてろ。


< 196 / 337 >

この作品をシェア

pagetop