武士道セブンティーン!!

ヤツはまた、愛らしい碧眼であたしを見つめて。

暗闇の中、あたし一人を置いて、去ろうとした。

(……一匹で行かせるか)

情けないことに、あたしはまた、ヤツに着いていってしまったのだ。

一歩足を踏み出した瞬間。
ふっと足下から何かが消えた。

(えっ?)

状況が分からず、一瞬宙に浮いたような感覚のあと━━━足の裏に地面の感触が戻った。

「……あれ」

目を開けると、何故か林の中にいた。

「どこだぁ……ここ」

さっきまで、住宅地にいたはずだ。

何故、こんな━━……。


バササッ


「ギャアッ」

自分以外の生き物の気配に、ビクッと身体を震わせた。
無様な悲鳴をあげてしまった。宮本眞希、一生の不覚。

「何だよ……」

辺りを警戒して見渡すが、何の気配も感じられなかった。

「はぁ。……ここ、本気でどこだろ…」

明かりが1つもない。真っ暗すぎて分からない。
ただひとつ分かるのは、同じまっ暗闇でも、さっきの場所とは別だということ。

こういうのが鼻がつままれても分からない暗さってのかな。

(…鼻つままれても気付かない人なんていないと思うけど)

あたしは手首に付けた電波時計のライトをつけて地面を照らした。

スポーツバックや道着袋、竹刀は地面に散乱していた。ふざけんな。

つか地面って土?

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