二重人格神様~金と碧の王~



「え?」


一瞬、状況がわからなかった。けれども、足に触れる手や密着する身体、私を見つめる瞳。


それで、わかった。たくましい腕に抱かれてるって。


突然のことに胸がドキドキして、抵抗することなく黙っいるとグレンさんはそのまま階段を昇る。


「これなら、吐かないだろ」

「あ、は…い」

「吐いたら、あの牢獄に監禁だ」


「う…ん…」


吐き気なんかより、私の心臓がドキドキしていて、どうかなりそう。


気持ち悪いし、頭も痛い、視界もぼやけて泣きたいくらいなのに、彼に抱かれていることで不思議と和らいでる。


気のせい、絶対に気のせいだけれど…


なんで、胸がドキドキしてしまうの?


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