二重人格神様~金と碧の王~
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その日の夜、ある部屋に女と男がいた。
「って、ことだ。あのグレン様も花嫁に夢中...もう、ルーテル様がつけいる隙はないと思うぜ」
真っ暗の部屋で、その女は男の言葉をきき薄ら笑いを浮かべながら、空を仰いだ。
カーテンを開けたまどから月の光がさしこみ、ルーテルは唇を噛み締めた。
数分前に、男、いや、ライはグレンの告白のことをルーテルに伝えた。
あの出来事は、その日のうちに屋敷中に広まりライの耳にも届いた。
いのりに薬をもってから部屋に閉じこもるルーテルにはその話は届いてない。
だから、聞いた瞬間、その顔は憎しみで満ちていた。
「どうして、どうして、グレン様まで...」
細長い指で腕をつかむと、その腕からは血が流れる。
「もう、こうなったら、最後のアレを使いましょう。あれを使えば、わたしは必ず冥界に落とされるわ。でも、それでも人間を花嫁にさせるよりましだわ」
「ルーテル様、もう...」
「貴方は黙って!はやく、はやく、アレを盗んできなさい!!」
ルーテルの言葉に、ライは躊躇う。
だが、発狂する彼女をほっておくことなど、ライには出来ない。
「わかった」
そう言うとその場で泣き崩れるルーテルを振り返り部屋をでた。
そのまま廊下をあるくと、その脚は前から来た人物に止めらる。
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