二重人格神様~金と碧の王~

「わかった。大丈夫だよ。この部屋からは出ないでおとなしくしている。それに、一日いるわけじゃないでしょ?」

「勿論です。フェイラン様はずっといますが、私はすぐに戻って参ります。心配ですので」

「それなら、大丈夫だよ」


アレスの言う通り、守ってくれるアレスがいないのは不安だけど、ルーテルさん達も最近は何もしてこない。すこしくらいなら、大丈夫だと思う。

「そう、ですか?」


「うん」


頷く私に、アレスはホッと息をつく。


「分かりました。では、明日、行きます。一応、私の配下の神は数名残していきます。何かあったらすぐに言ってくださいね」


「わかった」


そう頷くと、アレスは不意に海鈴さんに視線をむける。


「しかし、なかなか目を覚ましませんね」


「え?あ…うん。表情は前よりよくなったんだけど…」


ベッドで眠る海鈴さん。彼に近寄りその姿を二人で見下ろす。


「そうですね。これもいのり様のご看病のおかけです」


「そんなこと、ないよ」

私はなにもしていない。ただ、傍にいて、見ているだけだ。だって、私に触れるのがいけないとお父さんは言った。

だから、あれから、私は海鈴さんに一切触れていない。

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