[完]バスケ王子に恋をして。
「それを聞いて……あぁ私はやっぱり春樹しかいないんだなーって思ってずっと頭の中に春樹がいたんだってやっとわかって……いつまでも弱い自分じゃダメだ……春樹がいないと私は強くなれないって思って……私は姿を見せることにしました。それから私は再び春樹に出逢い私達はまた二人で支え合うって決めたんです」

そして私は大きく息を吸う。

「私のことなんて嫌いでもいいんです。春樹のことを嫌いでもいいんです。私達のことを認めなくてもいいんです。私達は芸能人であって皆さんとは違う狭い檻の中に閉じ込められて監視されているように生きています。けれど……私達は皆さんと同じ人間です。笑ったり泣いたり……悲しんだりつらかったり……喜んだり怒ったり……普通に皆さんと同じような悩みがあるんです。なのに……芸能人だからって……自分が幸せになるのはダメなんでしょうか?皆さんと同じように恋をして毎日を楽しく過ごすのはダメなんでしょうか!?」

私はみんなに問いかけるように優しく一瞬伝える。

「私はそうだとは思いません。たしかに皆さんとは違う世界にいるような気がしますけれど……私達は今たしかにここで生きてます!!死んだように言われた通り動いて笑う人形ではありません!!だから……皆さんももう一度考え直して下さい。知らない人にストーカーされて……家での写真を撮られて流されて……皆さんがそんなことされたらどう思いますか?だから私は……人の幸せを喜べる人になりたいです。たとえそれが自分の好きな人で手の届かない存在だとしても……自分だけが嬉しいだけじゃなくてその大切な人を思いやるようになりたいです」
「奈未……」
「だから私達は……お互いのことをよく思って……この会見を開きました。お互いのどちらかに負担が掛からないようにしたんです。先程もいいましたが私達を認めなくてもいいんです。ただ……皆さんに隠してコソコソと付き合うのは嫌なのでこういう機会を頂きました。こんな私達の為に来て頂いて本当にありがとうございました」

そう言って私達は二人でお辞儀をした。

すると……

ーパチパチパチパチ

……え?

私は顔を上げるとそこにはたくさんの記者さん達が私達に向かって拍手をしてくれていた。

「よかったな奈未……俺達の思いは伝わったぞ?」

春樹はそして私を見て微笑む。

その光景と春樹の優しさに私はいつの間にか号泣して春樹の胸に抱きついていた。

「いつまでも幸せになって頂けると嬉しいですね」

アナウンサーさんの声が私にはそんなふうに聞こえた。
< 420 / 447 >

この作品をシェア

pagetop