幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜


季節は巡る。



とりとめもなく、無常に時は流れ、


どれほど願っても止まることはない。



桜がはらりと舞う。




綺麗で切ない桜。



でも、私は知らない。





一人で見る桜しか、私は知らない。





そうして季節は流れ、日差しのきつい初夏が訪れた。





もう、道場に咲いていた桜は散り、葉桜がさわさわと風に揺れていた。




近藤さんの養女になって、一度目の夏が巡ってきた。
< 17 / 261 >

この作品をシェア

pagetop