幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜


「へえ、じゃあ土方さんと平助、
新八さんと斎藤君、総司と山南さんが試合をするってことですか?」



朝餉の場で、今日の試合の予定を原田に聞いていた譲は思わず箸をとめてききかえす。


「ああ、だから六人ともはりきって、
朝餉も食べずにさっきからずっと稽古してんだよ」


ずずっと味噌汁を啜ると、左之さんは手を合わせて、ごちそうさん、と一声あげる。


朝餉の場にいつもの顔が揃わない謎が解けた譲だったが、しかし近藤さんとも朝から顔を合わせていないことに気づいた。


「そういえば、近藤さんは?」



「ああ、近藤さんなら、武士の正装に着替えてるよ。いつもの格好じゃ、容保公の御前にはでられねぇだろ?」



確かに……と、納得していると、左之さんは壁に立てかけていた槍をもって、譲に振り向く。



「っということで、俺たちは暇組なんだよ。いっちょ勝負しようぜ」



試合を申し込まれて、受けないわけがない。


譲は残りのご飯を喉にかきこむと、にやりと立ち上がった。



「もちろん、望むところよ!」





< 183 / 261 >

この作品をシェア

pagetop