好きなんて言えないよ。
「じゃ、行きますかっ」




紺野君があたしに言った。




「あっ、うん」



自転車をゆっくりと走りださせた。




紺野君があたしのペースに合わせてくれるらしく、気を使ってくれた。




「逢瀬、このペースで大丈夫?」



「あっ、うん。大丈夫っ」



うわぁー、ホントに一緒に帰ってるんだ………。




「そういえば逢瀬って彼氏とかいんのー?」



ううえ!?



紺野君を見ると、特になんとも思っていないという表情をしていた。




「い、居ないっ」




あたしの好きなのは紺野君なのに。




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