ama-oto
 「知香、教えて。減るもんじゃないし。」
 「そりゃ、減るもんじゃないけど。」
 「けど?」
 「…なにか気付かない?」
 「何に?」

 チーズをつまみながら、ぼんやり考えたが、酔いも手伝ってか…

 「分からん。知香、教えて。」
 「うーん、どうしようかねぇ。」

 知香はチーズをつまみながら、梅酒ロックを一口飲んだ。

 「うーん。」

 のらりくらりとやり過ごされ、結局聞き出せずに終わった。

 「ぶー。」
 「あのさ、もっと人を見る目を養え、学べってことよ。」

 知香は時折、まっとうな正論で私をたしなめる。

 「あと、自分の行動が、他者からどう見えるか、よく考えなさい。」

 小学生みたいに、「はーい」と返す以外何もできなかった。

 「話、替えるか。ねー、聞いてくれる。あのね…」

 以後、知香の終わりが見えないのろけ話に持っていかれてしまった。

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