恐怖短編集
もう遅いとわかっていても、私は振りかえり、『手』を探す。


どこかにいるはずだ。


私は人の隙間を強引に突き進み、人々の手に意識を集中させる。


一度も見たことのない『手』だけれど、見れば必ずわかる。


そう確信していた。


「どこ、どこにいるの」


知らず知らず、呼びかけてしまう。



まるで小さな子供を捜す母親のように、必死になって、地面に這いつくばって進んでいく。
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