恐怖短編集
オシリから、手がスッと離れる。周囲のざわめきも一瞬にして消えた。


『繰り返します。ただいま、人身事故が発生しました』


アナウンスの声を聞いていると、電車は完全に止まってしまった。


その瞬間、私は弾かれたように腕時計を確認する。


七時四十五分。


いつもなら目的の駅についている時間。


そして、チカンの手が離れる時間。


……偶然?


いいや、偶然なわけがない。
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