恐怖短編集
「え?」


私が眉を寄せる間もなく、「飲んで!」と叫び、私の口の中に牛乳を流し込んだのだ。


私は思わずむせ返り、口から牛乳がこぼれだす。


「もったいない事しないの! 飲みなさい!」


母親の、真っ赤に充血した目が私を離さない。


無理矢理口をこじ開けられ、大量に牛乳を流し込まれる。


牛乳が気管に入り息が出来ない、喉がつまって胸が苦しい。


しかし、母親は「飲みなさい、あなたはそんな子じゃないの……」とずっと呟いていた。


思えばその日から、母親の様子は変わって行った。


学校に顔を出さなくなって、部活も好きな事をやらせてくれる。


その変わりに毎週怪しい占い師のもとへ通わされたり、通販で色んな薬を買い、私に飲ませるようになった。
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