*嘘月とオオカミ先輩*
手に持っていたテニスボールが再び地面に落ちて転がる。
目の前に固い胸があった。
背中にはがっしりした腕が回されている。
どういうわけか、三條先輩に抱きしめられてる。
「さ、三條先輩っ!?」
わけがわからないまま、とにかくその腕の中から逃れようと体をひねる。
と、上から陽気さの欠片もない切羽詰ったような声が降ってきた。
「ツッキー、俺、ツッキーのことが」
「ちょっ」
腕に力を込められ、身動きが取れなくなる。
そのとき、あたしの耳に再び落ち葉を踏みしめる音が届いた。