*嘘月とオオカミ先輩*
え――――?
ふらふらと遠ざかっていく広い背中。
それを見ながらあたしの感覚はどんどん麻痺していった。
「サ、ク……?」
触れているはずの三條先輩の存在すら忘れてしまうほどに。
「ツッキー?」
間近に落ちてくる声も耳に入らない。
ただ、離れていく背中ばかりを目で追う。
なんで、どうして、と心の中で繰り返し、やがてあたしの胸は軋んだ。
サークル中は近寄るなって、
あたしが自分で言ったからだ。