*嘘月とオオカミ先輩*


結局先輩のお奨めラケットを購入し、お店を後にした。

外に出るともう日が傾いていて、オレンジの光が2人の影を長く伸ばす。



「あー、先輩ありがとうございました」

「うん」

「役に立ってないけどありがとうございました」

「うん?」



眉を変な形に寄せて睨んでくる顔が面白くて笑ってしまう。



凄く短い時間だったけど、デートみたいで楽しかったな。



少し寂しい気もしながら、駅の方に足を向ける。



「じゃ、帰りますか」



そう言った瞬間、腕を掴まれた。

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