暴露 (秘密を知ってしまった・・・)

6

自分の席につくと、早くも寝癖課長がきていた。
「おはようございます」とあいさつすると、
「あ、おはよう」と顔を少し上げてあいさつを返してきたが、すぐに手元の書類に顔をもどした。万事この調子だ。研修以来、あまり気にかけてくれないというか、声もろくにかけてくれない。教育係にすべてまかせているという感じで、私の存在なんかほとんど眼中にないのだろう。
あまり期待されていないのだろうか?
「おはよう」、おつぼね先輩がやってきた。
 私の失言以来、松村さんの対応は表面上は変わっていない。小言は相変わらず多かったが、いじめられるほどでもない。
 これが、いわゆる大人の対応なのだろうか?内心では、いつもびくびくしていたのだが。
 入社して一カ月経ち、疲れがどっとたまってきた。
 自分がこんな性格だったのかと嫌になってきたところだ。上司の顔色をうかがい、先輩の顔色をうかがい、仕事のミスはないかと四六時中、不安にかられたりしている。
 いや、ちがう!
 私はまだ、自分のいいところを発揮していない。

 
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