朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


ああ、さっぱりした。

ずっとしていた血の匂いは、私のせいだったか…


タオル一枚持ってないや。
自然乾燥、自然乾燥。



なんて、ずいぶん楽になった気分で、濡れた前髪をパサパサしながら処置室の前に戻ったら。




「倉橋さんですか?」


知らないオジサンが、ものすごく久しぶりに聞く、私の苗字を、呼んだ。

隣に立つオバサンは、オーストリッチのバッグを持って、化粧気のない、疲れた青白い顔で、私に会釈をした。


オジサンも、赤いセーターの普段着で、目を覗き込むようにして、私が答えるのを待っている……のが、哲にそっ…


………そっ…


…そっくり過ぎ…だろ…!?




これは………

…哲のご両親、に間違いない。



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