朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
カシスジャムの挟まったチョコレートケーキをひとつ食べ、オレンジピールの入った方を、お父さんとお母さんとで食べてもらった。
お父さんお母さん、と呼んではいるけれど、哲の両親だ。
実際にそう、口に出して呼んだわけではない。
…だって。
……嫁気取りみたいで…嫌だもん。
2人をビジネスホテルに送り、明日は病院に行ってから、一旦帰ります、と。
哲也がご迷惑かけますが、よろしくお願いします、と。
お母さんが、少し血色の良くなった顔を、にこりと。
綻ばせた。
笑ったときの、目許が。
哲の目許に、よく似ていて。
「……哲、いないんだなぁ」
静かな隣の部屋に、2度目の寂しさが、じわじわと。
マズいほどに、込み上げた。