朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


不意に、携帯が鳴った。


テーブルに置いた、マナーモードの振動に、可笑しくなるくらい、びくんと肩が震えた。



………遼?


「…はいはーぃ」


正直、何の用だ、と。
思った。

笑える気もしないし、今、誰かと楽しく喋れる気もしないと思っていたのに。




『遅くにごめんね、そろそろ帰ったかと思って』


聞こえてきた、遼の声。

優しい声に不覚にも、わずかにほっとしてしまった。



『木下さんに聞いたんだ。哲くんが大怪我して…蜜が泣いてるって』



……泣いてないよ。

今、涙込み上げたの、気のせいだから。

木下さんたら何言っちゃってくれちゃってんの。



ああ、木下さん…って、雪音ちゃんの苗字。


…哲の好きな、雪音ちゃんの。




そう思ったら。

緩んだ涙腺から、なにか変なホルモンが…不可抗力で勝手に分泌されたに違いないんだけど…。


急に込み上げた切なさを、隠せなかった。



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