朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
…遼、遼。
泣いてごめん。
びっくりするよね。
泣くつもりは無かったんだ。
確かに少し、人の声を聴いて、ほっとした気はするけれど。
まさか、来てくれるなんて思わなかったから。
こんな遅い時間に、まさか来てくれるなんて。
……思わなかった、から。
一旦込み上げて、こぼれてしまった不安感は、ちょっとやそっとじゃ引っ込んでくれなかった。
静か過ぎる隣の部屋。
同じリズムを刻む、時計。
一度、冷蔵庫の中で、氷の落ちる音に、ひどく驚いた。
哲が大丈夫なのも解ったし、指がつく事も、解った。
なにも心配ないのに。
鮮やかな血の色と。
脂汗を浮かべて、尚も笑おうとした顔。
指の、断面。
単に怖かったから、不安になっているだけ。
あとは、ちょっと音が足りない、だけなのにね。