朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「私の分の“哲”が、哲の全部なら、私も全部、いい」
仕事をする間の時間だけ、とか。
お昼を一緒に食べられるくらい、とか。
缶コーヒーを一緒に飲む程度、とかの。
隙間隙間の“哲”じゃなくて。
全部。
シチュエーション的には、“お前の全てが俺のもの”くらい言われる感じが好きなんだけど。
「全部、私のならいい」
すっかり、かけ離れてしまった。
真逆のセリフを、自分で言ってしまってから、頭のどこかが残念がっているのを、少し、可笑しく感じた。
「……蜜……馬鹿だろ…」
「……なっ…」
きつく、肩に押しつけられていた頭を解放されて、いきなりされた馬鹿呼ばわり。
抗議しようと顔を上げた私の視界に入ったのは。
赤い髪と。
黒い目と。
唇の、ピアス。
こんな距離に、哲がいたことはない。
こんな目で、私を見ていたことも、ない。
……と思う。
「…ほんと、馬鹿だよなぁ…」
なんで馬鹿なの、と。
声には出せないくらい。
哲の唇が、近くて。
私はそのまま、いきなり深かったキスを。
受け入れた。